
瓦緊結用釘の選定について、いぶし瓦の緊結には銅、黄銅の釘を使用すると腐食が進むのが早いので使用しない。又、桟瓦の釘穴径が小さい場合、瓦と釘の摩擦や結露でステンレス製の釘も、腐食の可能性が大きいので釘の周辺に十分な空間が必要である。
釘の軸部形状について、スクリュー形状は長期間引き抜きカが維持できない。スクリュー回転留め形状は下葺き材に釘軸部以外に空間ができる可能性があるので、漏水に注意を要する。リング形状については、長期間引き抜きカは維持できるが打ち込み時に大きな力が必要となるので施工時の瓦破損に注意を要する。
ネジの選定については、ステンレスを使用すること。ネジに使用するパッキンは耐候性、耐亀裂性ある素材とする。ネジを締め付けるとパッキンが飛び出したり、少しの傷でも割れるものがあるので選定には注意を要する。ネジ軸部先端形状については、先割れ等の加工が施されている場合は桟木の繊維を引っ掛けた状態で下葺き材を貫通するために必要以上の傷を付け漏水の原因となる可能性があるので注意を要する。
桟瓦の桟山から野地板を貫通して野地真にネジが出るような留付けを行う場合、ネジ軸部が熱架橋となりネジに結露の恐れがあるので注意を要する。釘の場合についても同様の現象が起きるので注意を要する。
ステンレスネジと異なる金属が接合される場合、どちらかに電気絶縁処理を施し電気的腐食を防止すること。緊結用鋼線をステンレス釘に留付ける場合も同様で、被覆銅線を使用してステンレス釘に留付ける方法を行うこと。
ネジ、釘、金物に使用するステンレスは通常SUS304製とするが、海岸等で塩が影響してネジ、釘を腐食させる場合には、SUS304に特殊な表面処理を施したり、高純度高Cr-高Mo鋼を検討する必要がある。SUS410・430製については耐腐食性が劣るので桟瓦の留付けや暴露する補強等に使用するのは望ましくない。